再生回数のステマが存在する
人は誰かが「面白い」といったものに期待をかけます。世間で評価されているもの、世の中で「良い」とされているもの、そのようなものに対して期待をかけるのです。
何かを世間に発信するとき、それが商品でも何かのエンターテイメントでも、「人からの評価」を得ることはとても価値があることになります。それを知らない人に対して自信を持って推薦できる「裏打ち」として、それらの評価を利用できるからです。投稿された動画にとっては、そのような裏打ちとなるのは「再生回数」です。人がたくさん視聴したものは、それだけ「面白い」のだろうということです。動画投稿サイト内でのそのような再生回数は、その動画を判断するためのひとつの指標になるのです。
それがなにかの商品の紹介であれば、その商品は「とても注目されている」商品という評価になります。たくさんの人が興味をそそられた商品ということになるでしょう。企業にとってそのような状況は販売上の追い風になるものです。ですから、商品プロモーションの一貫として、そのアイテムを紹介する「動画」を投稿して、その再生回数を大量に稼ぐという方法も存在します。それは反則的なアプローチというよりも「広告的」な側面が強いものではあるのですが、動画投稿サイトというたくさんの人が閲覧するWebサイトの中で、「大量に再生された」という実績を打ち立てることは決してマイナスにはならないでしょう。
ただ、投稿した動画、たとえば商品のプロモーション動画が必ず大量に再生されるかというと、そのような保証はありません。動画投稿サイトによっては再生カウントの方法は異なっているとは思うのですが、少なくともそのページが表示され、動画が再生されなければカウント数は間違いなく増えないでしょう。特定の商品、さらにはまだ市場に出回っていないような商品の動画が、そのように大量に再生されるか、つまり人の興味を惹くことができるかどうかということは誰にもわかりません。投稿すれば再生されるというものでもありません。そのような動画の数々は動画投稿サイトの中をひしめいていて、たくさんのユーザーが自由に目当ての動画を探してネットサーフィンしているのです。
ですが、予算をかけて作った動画ですから、再生されなければ意味がない、「注目の動画」として人に対して「圧倒的な人気」を誇っているように演出しなければ意味がないのです。
そこで存在するのが「動画の再生回数」を無理やり伸ばすサービスです。それらが事業として存在しているのが信じられないのですが、実際に再生回数カウンタを増やすことを請け負う事業者が存在しています。それらのサービスを利用することで、たとえ誰にも見られていない動画でも大量に「再生されている」と見せかけることができるのです。それによってその動画に接触したユーザーに対して「人気の動画、注目の動画である」ということを示すことができるというのです。ただ、それはまぎれもない「ステマ」です。